『HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン』祐真キキインタビュー
『ヒーローズ』新章に抜擢! 日本人女優・祐真キキが明かす、出演の経緯と超ハードな撮影現場
アメリカで2006年から4年間にわたり放送された、大ヒットテレビシリーズ『HEROES/ヒーローズ』。突然超能力を手にしたごく平凡な人々が、その能力に戸惑いながらも自らの運命に立ち向かう姿を描いたSFドラマで、日本でもマシ・オカ演じるヒロ・ナカムラの「ヤッター!」のキメ台詞と共に大ヒットを記録した。2010年のシーズン4完結から5年、このたび『HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン』として、新章が誕生した。本作でメインキャストの1人として登場するのが、ロサンゼルス在住の26歳の日本人女優・祐真キキだ。リアルサウンド映画部ではプロモーションのために来日を果たした彼女に取材を行い、本作で役を射止めた経緯や過去のバックグラウンド、今後の展望について話を聞いた。
「嬉しさでいうと、高校受験に受かったような感じ」
ーー本作の出演に至った経緯を教えていただけますか。
祐真キキ(以下、祐真):私がロスで通っている殺陣クラスに中学生ぐらいの男の子がいて。その送り迎えを彼のお母さんがしていて、結構話す機会も多くて、仲が良かったんですね。で、彼女が『HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン』のキャスティングディレクターと知り合いで、たまたま日本人で殺陣ができる子を探してるというので、私のアクションのビデオを送ってくれたんです。そしたら、キャスティングの方からオーデションに呼んでいただいて、オーディションに行ったら、受かったって感じです。
ーーそのオーディションは何回かあったんですか?
祐真:それが珍しく1回しかなかったんです! オーディンションは今年の2月とか3月ぐらいに行われたんですが、全部1日に詰め込んだ感じでした。最初にキャスティングの人の前で演技をやったら、「30分待ってくれ」って言われて。30分後に同じ部屋に入ったら、『HEROES/ヒーローズ』のプロデューサーが5人ぐらい並んでいたんです。それで、プロデューサーの前で用意された演技を全部やって、面接を受けました。その後、オーデションで撮ったビデオがNBCに渡って、NBC側からもOKが出て、4日後ぐらいに「受かりましたよ」っていう連絡がきましたね。準備期間を経て、4月から10月末まで撮影をしました。
ーー受かった時の心境はいかがでしたか?
祐真:いやぁもう嬉しいですよ! 嬉しさでいうと、高校受験に受かったような感じでしたね。
ーー親とかにもすぐ連絡をしたりとか?
祐真:その時はまだ、『HEROES/ヒーローズ』の続編があるってことが公にされていなかったので、できるだけ…というか、一切言ったらダメって言われたんです。でも一応、親だけには連絡して。でも、その時はまだあまりピンときていなかったみたいで。「『HEROES Reborn/ヒーローズ・リーボーン』? へぇー、スゴいやん」みたいな感じでした(笑)。
ーー過去の『HEROES/ヒーローズ』シリーズはご覧になっていましたか?
祐真:高校生の頃、ちょうどアメリカのドラマにハマってて、そのときにシーズン1を観ていました。受かった時にももちろん観ましたね。“めっちゃ面白い日本人が出てくるドラマ”みたいな印象でした(笑)。
ーー中学生の頃からアメリカのドラマや映画に憧れていたそうですね。
祐真:その当時は『ロズウェル - 星の恋人たち』っていうドラマにハマっていました。あとは洋楽ですね。アヴリル・ラヴィーンとかバックストリート・ボーイズが好きでした。そういったものに憧れて、英語の勉強を始めたんです。海外ドラマを最初は字幕付きで観て、その後に字幕なしで観たりとか、そういうことを結構やっていましたね。
ーーその頃と比べて、好きなドラマや映画、音楽のジャンルは変わったりしましたか?
祐真:音楽については、昔はこの人が好きってなると、その人の楽曲ばかり聞いていたんです。でも今は、この人が好きってよりも、この人のこの曲が好き、みたいな感じになりました。だから好きなジャンルもかなり幅広くなりましたね。ドラマに関しては、最近アメリカのドラマにスゴい面白い作品が多いです。特に『HOMELAND/ホームランド』と『ブレイキング・バッド』はめちゃくちゃハマりましたね。『HOMELAND/ホームランド』がめっちゃ面白くて。アメリカだと新しいシーズンが始まったんですよ。それはまだ観れてないんですが、スゴい楽しみです。映画もいろいろなんですが、最近は日本映画をよく観ています。飛行機の移動とかで日本の映画があると、つい観ちゃいますね。最近観た中では、河瀬直美監督の『あん』がスゴく面白かったです!
「撮影中、頭もパックリいっちゃいました」
ーー日本では今回、『HEROES Reborn/ヒーローズ・リボーン』はHuluでの配信となります。当時と比べて、テレビや映画の視聴方法も変わり始めていますが、その辺りについて、祐真さんはどうお考えですか?
祐真:配信サービスは私もめっちゃ使ってますね。『HOMELAND/ホームランド』や『ブレイキング・バッド』は配信で観ました。役者としては結構いいかもしれない。アメリカでもHuluとかNetflixとかいっぱいありますが、その会社が独自でドラマとかを作り始めているので、まず仕事の数自体が増えますよね。特にアジア人の女の子とかでハリウッドを目指してる子にとっては、チャンスが増えるので、ありがたいと思います。
ーーなるほど。『HEROES/ヒーローズ』といえば、日本ではマシ・オカさんのイメージが強いですが、マシ・オカさんとは会いしましたか?
祐真:会いました! もう1人、内門徹君っていう日本人の男の子が出ているんですが、撮影後の日本人打ち上げパーティみたいな感じで、その3人でお好み焼きを食べに行きました。
ーーそうなんですね。撮影前にはコンタクトをとったりはなかったんですか?
祐真:撮影前はなかったですね。というのは、マシ・オカさんは『Hawaii Five-0』という作品の撮影で、ずっとハワイにいて、忙しかったんですね。でも、撮影中にお会いして、いろいろ話を聞きました。その時にマシ・オカさんから「オンエアされた次の日とか、外を歩けなくなるぐらい人に気付かれるよ。心の準備をしときな」って言われたんですよ。だから、スゴい期待して、オンエアの次の日に人混みを歩いてみたんですけど、一切誰からも気付かれなくて(笑)。
ーーそれは意外ですね。
祐真:悲しい現実…(笑)。でもそれはたぶん、私が演じているミコというキャラクターが強烈だからなんですよ。服装はピンクで派手だし、刀を持ってるし、髪型もV字型の前髪で独特だし…。ミコの姿で歩けばたぶん気付かれると思うんですけど、スッピンだったり、髪の毛をくくったりりしてるだけでも、たぶん分からないんじゃないですかね。マシ・オカさんはヒロ・ヤマナカの役とイメージがそんなに変わらないので、そこが違いますよね。
ーールックスもそうですが、ミコはかなり特徴のあるキャラクターですよね。
祐真:ミコは父親が残した刀を手にすると、ゲームの世界に飛んでいくんです。そのゲームの中の動きも全部私がモーションキャプチャーでやってるんですよ。そこに注目してほしいですね。たぶんこれは言わないと分かってもらえないと思うし、全部CGだと思われたくない。あんだけやったのに、みたいな(笑)。撮影は、体にドットをいっぱいつけて、顔の前に小さいカメラをセッティングしてやりましたね。相手役の人たちも同じようにセットして、私たちが実際に戦う姿を、グリーンバックの広いスペースに、360度に渡って設置された100台ぐらいのカメラで一気に撮って、それをコンピューターに取り込んで操作する、みたいな感じでした。
ーーアクションシーンも相当頑張っていらっしゃいますよね。
祐真:モーションキャプチャはほとんどアクションだし、実写の方も私の役はアクションがメインだったので、アクションはかなり頑張りましたね。でも、リハーサルが全然なかったんですよ! だから、無理矢理頼んでリハーサルをしてもらいました(笑)。あと、体が柔らかくないと怪我をしてしまうので、柔軟はするようにしていました。でも、結構怪我しちゃって。頭もパックリいっちゃいましたね。木刀がおでこに入って、血がプシャーみたいな。まぁ3針で済んだからよかったんですけど。